タイトル:TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド
著書:クリス・アンダーソン(著) 関 美和(訳)
出版社:日経BP社
もくじ
~本について~
人前で話すのが怖くない人なんていない。
それは、失うものが大きいからだ。
だけど、心がけ次第で、恐怖をエネルギーに変えられる。
プレゼンの能力は、生まれつきの才能ではない。
だれでもが自分に合ったやり方を見つけて、上手に話す技術を身につけられる。
~著者について~
クリス・アンダーソン
TED代表兼キュレーター。オックスフォード大学を卒業後、ジャーナリストとして活躍。
100以上の雑誌やウェブサイトを成功させたのち、2001年に非営利団体のTEDを買収した。
TEDの精神「広める価値のあるアイデア」を世界的に広めた。米国ニューヨーク在住。
関美和
翻訳家。杏林大学外国語学部准教授。慶応義塾大学文学部・法学部卒業。ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。主な翻訳書に、『ジョナサン・アイブ』(日経BP社)、『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?』(プレジデント社)、『ハーバード式「超」効率仕事術』(早川書房)、『シェア』『MAKERS』『ゼロ・トゥ・ワン』(NHK出版)などがある。また、アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団の理事も務めている。
~目次構成~
プロローグ 基本 1.プレゼンテーション・リテラシー 2.アイデアを築く 3.よくある落とし穴 4.スルーライン ツール 5.つながる 6.ストーリーを語る 7.説明する 8.説得する 9.見せる 準備 10.ビジュアル 11.原稿を書く 12.通し練習 13.つかみと締め |
本番 14.服装 15.メンタルの準備 16.ステージの設定 17.声と存在感 18.フォーマット革命 考察 19.パブリック・スピーキング革命 20.なぜそれが大切なのか 21.次はあなたの番
謝辞 訳者あとがき 付録 本書に登場するTEDトーク |
~書評~
あなたは「TED」をご存知でしょうか??もちろん映画ではありません!笑
「TED」はTechnology(テクノロジー),Entertainment(エンターテイメント),Design(デザイン)の頭文字をとったもので、ニューヨーク市に本部があり、毎年大規模な世界的講演会「TED Conference」を開催している団体です。
詳しくはホームページとWikipediaを載せてますのでどうぞ。
本書はTED代表のクリス・アンダーソンが著したプレゼンテーションについての本です!
どんな本なのか。分かりやすく最初のプロローグに書かれています。
この本の目的は、力のあるスピーチがどう奇跡を呼ぶのか説明し、そのための武器をあなたに提供することだ。だけど、はじめに言っておきたいことがある。
優れたトークにこれというひとつの型はない、ということだ。知識の世界はあまりにも広く、登壇者も、観客も、話す環境もさまざまだ。ひとつのの方程式をあてはめようとすれば、おそらく逆効果になる。聞き手はそれを見抜き、操られていると感じてしまう。
だから、この本のアドバイスを、ひとつの型にはめるための「ルール」だと思ってほしくない。逆に、変化を生むための「ツール」だと思ってほしい。(中略)あなたの仕事は、何か価値のあることを、あなたにしかできないやり方で語ることだ。
TEDの使命は、力のあるアイデアを広め育むことだ。だから、この本の目的はTEDトークの方法を教えることだけじゃない。それよりはるかに広いものを、この本は目指している。
それは、ありとあらゆる形のパブリックスピーキングを手助けすること。つまり、ビジネスで、教育の場で、公の場面で、説明したり、刺激したり、情報を提供したり、説得したりするのを助けることだ。
この本には、目次の構成からも分かる通り、プレゼンテーションを始めるところから、終わりまで、つまりどのような考え方(基本)、どのような形式で話すのか(ツール)、どのように準備し、本番はどの様にふるまうことでパフォーマンスを上げるのかが書かれています。
そして最後に、パブリック・スピーキングにおける”プレゼンテーション・リテラシー”がこれからの時代にますます重要なスキルになっていくことを、いろいろな角度から考察して、本書が締めくくられています。
また、この本では「アイデア」という概念があり、これがどのようなもので、どのように伝えるかが、パブリックスピーキングの成功のカギになります。
講演者のいちばんの使命は、自分が心の底から大切にしている「なにか」を取り出して、聞き手のこころのなかにそれをもう一度築き上げることだ。その「なにか」を、僕らはアイデアと呼ぶ。
この本は、価値あるアイデアを持つ人なら、だれでも力のあるトークができることを大前提にしている。
パブリックスピーキングで本当に大切なのは、自信でも、存在感でも、口のうまさでもない。「語る価値のあるなにか」を持っていることだ。
世界の見方を変えてくれるものはなんでも、「アイデア」だ。人の心の中に説得力のあるアイデアを植え付けられたら、奇跡を起こしたことになる。本当の意味で、あなたの一部が彼らの一部になったということだから。
人前で話す時に緊張するのは当たり前のことです。読書会と場合もそうですし、社内での企画発表やセミナーを開くときなど、人前に立って、何かを伝える機会のあるすべての人に本書をオススメします。
~感想~
この本のいいところは何でしょうか?
僕が読み終わった時に驚いたのは、内容の濃い本であるにもかかわらず、非常に読みやすかったことです。
この本は①内容が分かりやすいこと、②文章が流れが自然で、サラッと読めること③どの章からでも読めること、の3つを満たしている優れた本なのです。
僕自身が読もうと思ったきっかけは至極単純な理由で、僕自身が人前で話す時に緊張することと、TEDのガイドブックというものに純粋な興味があったことです。
普段、TEDの動画からは登壇者から緊張感はあまり見えず、「プレゼンの達人」のようなオーラがあります。
しかし、この本を読めば登壇者それぞれの、苦手なことや得意なこと、そして「弱み」をどのように克服したのかが具体的に書かれています。
例えば、イギリスの労働党党首のトニー・ブレアは自身の過去の失敗を自虐ネタに換えて、笑いと信用を勝ちとったし、マイクロソフトのビル・ゲイツは、その昔話し下手だったが、真剣に練習するに取り組むことで苦手意識を克服し、心に残るトークを生み出した、とのエピソードがあります。
これは私たちにとって大きな励みになります。
私たちでもしっかりと準備をし、本番までの練習を怠らず、プレゼンテーション・リテラシーを身につけようと頑張ることであのような人々に影響を与えるトークができるかもしれないのですから。
他にも数々のTED登壇者たちのエピソードが満載ですので、興味が湧いた方ぜひ一同手に取ってみてはいかがでしょうか??