
タイトル:自分のアタマで考えよう
著者:ちきりん
出版社:ダイアモンド社
~本について~
“おちゃらけ社会派”として超人気のブロガーが教える「自分だけの答え」の見つけ方。
~著者について~
ちきりん
関西出身。バブル最盛期に証券会社で働く。その後、米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。マネージャー職を務めたのちに早期リタイヤし、現在は「働かない生活」を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。
2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログ「Chikirinの日記」を開始。政治・経済からマネー・問題解決・世代論まで、幅広いテーマを独自の切り口で語り人気を博す。現在、月間100万以上のページビュー、日に2万以上のユニークユーザーを持つ、日本でもっとも多くの支持を得る個人ブロガーの1人。
著書に『ゆるく考えよう』(イースト・プレス)がある。
~目次~
はじめに
序:「知っている」と「考える」はまったく別モノ
1:最初に考えるべき「決めるプロセス」
2:「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
3:あらゆる可能性を検討しよう
4:縦と横に比べてみよう
5:判断基準はシンプルが一番
6:レベルをそろえて考えよう
7:情報ではなく「フィルター」が大事
8:データはとことん追い詰めよう
9:グラフの使い方は「思考の生産性」を左右する
終:知識は「思考の棚」に整理しよう
まとめ
さいごに
参考文献
~書評~
【6冊目の書評】である、苫米地英人『思考停止という病』(KADOKAWA)に、メッセージは似ていますが、切り口が全然違います。
メッセージの部分は共通してますね!
要するに【もっと頭を使って考えて行動するクセをつけてね】ということです。
この本に書いたのは、「ちきりん独自の視点」を生み出す源泉となっている「思考の方法論」です。
(中略)
本書では各章にひとつずつ「ちきりん」が日常的に使っている「思考のワザ」ともいえる考え方の手法を、使用例をまじえながらご紹介していきます。「とりあえずこれだけ知っていれば、かなりのところまで考えることができるよね」と思えるよう、自分が学んできた方法論のほぼすべてを網羅したつもりです。―「はじめに」より
この本の副題に「知識にだまされない思考の技術」とあります。
「知識」と「思考」の違いとは何なのでしょうか
この本によると、
・「知っていること」は、通常「知識」と呼ばれており、「情報に基づく思考の結果」とは異なるのです。―(p6)
・ある情報から楽観的なことしか読み取れない、反対に悲観的なことしか読み取れないのは、読み手に最初からバイアスがかかっているからです。―(p15)
・「詳しくなればなるほど、その分野での新しいアイデアの否定になる」傾向が見られたら、「思考が知識の邪魔をしている」ことを疑ってみた方がよいでしょう。―(p19)
・知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、思考とは「未来に通用する論理の到達点」です。―(p20)
・私たちはしばしば他人の考えをまるで自分の考えであるかのように錯覚します。だからその戒めとして、「誰かが考えたことではなく、あなた自身が考えたことが重要なのですよ」という言葉が使われるのでしょう。自分の頭で考えること、それは「知識と思考をはっきり区別する」ことから始まります。―(p21)
とあります。
目次の「1:最初に考えるべき「決めるプロセス」」では、情報(知識)と結論をつなぐのが「思考」であることが書かれています。
「2:「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと」には、情報を知るのではなく、「なぜ?」「だからなんなの?」と問うことで、分析(情報の解釈、理由や背景の理解)ができるようになることが示さています。
「3:あらゆる可能性を検討しよう」~「9:グラフの使い方は「思考の生産性」を左右する」には具体的な思考の方法論がたくさん紹介されています。
最後の「まとめ」には、この本の総括がまとめられていますので、この本を読んだ後は、このページをチェックすれば、本の内容を素早く、簡単に思い出せるように工夫されています。
ちきりんは何も知識が悪いものと言っているのではなくて、思考する際には、一旦知識による思い込みを外し、ゼロから考えることを促しています。
これは科学を例にするとわかりやすいですね。
地動説や相対性理論も常識から考えるだけでは決して閃くことはなかったと思います。そうではなくて実際の現象や論理を素直に受け取って矛盾しないように理論を組み立てていく。ちきりんはそれを言っているのですね。
私も未熟ながら一読書家として、気をつけねばと、背筋が伸びた1冊です。是非読んでみてください。
~所感~
最近、細谷功『「WHY型思考」が仕事を変える』(PHPビジネス新書)を読みましたが、「なぜ?」という問いは、問いを立てた自身の思考が動くことはもちろん内容の深堀りにも非常に有効ですね。
ところで、思考術の本がよく出版される背景には、よく売れる、といことがありつつも、「実践している人が少ない」のかな、と思っていたりもします。あくまで仮定ですが。
定番本が決まったり、収れんしないのには、短期的なモチベーションアップに使われていたり、読んでわかった気になっているだけの人もままいるのではないか、と最近考えることがあったのです。
そういう意味では、実用書で学んだことは、1つでも2つでもやってみないと、お金と時間と労力をかけた甲斐がないではないかと。
もちろん他人がどうというより、自分に対する戒めということの方が想いとしては大きいですが…
~感想~
所感と似てますが、ここでは本を読んで感じたことを書きます!
一言で表せば、この本と他の思考術本の違いとして、ノウハウが明確で実践しやすいことが挙げられると思います。
図やグラフが多いので、文字の数も少ないですし、【このグラフから何が読み取れるかを続きを読む前に考えてみてください】などのように安直にちきりんの考えた結論だけを求めないように工夫されています。
なのでこの本の魅力を表すと以下の3点に集約されると思います。
- 内容が分かりやすい(平易な言葉、明確な理由付け)
- 事例が具体的
- 万人が読んで実行に移しやすい内容
もしかすると読みやすさや表紙のコミカルなイメージから、苫米地英人『思考停止という病』(KADOKAWA)よりもこの本の方が読みやすいかもしれませんね。
ブロガーということもあり、ちきりんさんの本は読みやすい本が多いのでオススメです。
また、書評するかもしれませんね!乞うご期待ということで!