書評:3冊目【現代語訳 学問のすすめ】

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タイトル:現代語訳 学問のすすめ

著者:福澤諭吉 齋藤孝=訳

出版社:(ちくま新書)

~本について~

近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉の大ベストセラー『学問のすすめ』。

本書は歯切れのよい原書のリズムをいかしつつ、文語を口語に移した現代語訳である。

国家と個人の関係を見つめ、世のために働くことで自分自身も充実する生き方を示した彼の言葉は、全く色あせないばかりか、今の時代にこそ響く。

読めば時代情勢を的確に見極め、今すべきことを客観的に判断する力がつく。

現代にいかすためのポイントを押さえた解説つき。

 

~著者について~

福澤諭吉
1835(天保5)~1901(明治34)年。中津藩士、著述家、教育者、啓蒙思想家、「時事新報」の発行人。慶應義塾の創設に力を尽くした 。著書に『西洋事情』、『文明論之概略』、『通俗国権論』、『女大学評論』、『福翁自伝』など多数がある。

齋藤 孝
1960(昭和35)年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『座右の諭吉』(光文社新書)、『日本を教育した人々』(ちくま新書)、『私塾のすすめ』(共著、同)、訳書に『現代語訳 福翁自伝』『現代語訳 論語』(同)など多数がある。

 

~目次~

〇初編:学問には目的がある

第2編:人間の権理とは何か

第3編:愛国心のあり方

第4編:国民の気風が国を作る

第5編:国をリードする人材とは

第6編:文明社会と法の精神

第7編:国民の二つの役割

第8編:男女間の不合理、親子間の不条理

第9編:よりレベルの高い学問

第10編:学問にかかる期待

第11編:美しいタテマエに潜む害悪

第12編:品格を高める

第13編:怨望は最大の悪徳

第14編:人生設計の技術

第15編:判断力の鍛え方

第16編:正しい実行力をつける

第17編:人望と付き合い

 

~書評~

原書『学問のすゝめ』は明治の出版物であり、古語で書かれています。時代の転換期に書かれた本書は初編の発行以来9年間で70万冊も売れ、大ベストセラーになりました。

その学問のすゝめの現代語訳が本書であり、非常に読みやすくなっています。

「古典」のいいところは時代の変化にも耐えうる「普遍性」だと思うんです。つまり、単なるブームというわけではなく今にも通じる「何か」があるからこそ、現代でも愛読され続けているのだと思います。

その反面、古語で書かれていたり、現代で用いられることがない独特の言い回しがあって非常に読みづらいのが難点でもあります。

確かに「読書」「教養」に関する本の大半に「古典を読め」とありますが、重厚な本が多くてなかなか手が出ませんよね。でもこういう本であれば新書で現代語訳ですし、ちょっと読んでみようと思いませんか?


この本の冒頭に書かれている「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」というフレーズは有名ですね。これは江戸時代までの常識であった「士農工商」の身分制度が変わり、人間は本来生まれたときには平等にできている、ということを説いたもので、当時は画期的な思想でした。

でも、平等にできているとありながら、賢い人と愚かな人、貧しい人と金持ちの人、地位が高い人と低い人がいる。この違いはどこから来るのか、ということを福沢諭吉(著者)は疑問に思いました。

結論から言えば、これからの時代は身分ではなく、その人に「学問」があるかないかが、人生の分岐になることを冒頭で説いています。

「学問」と聞けば高校や大学の授業や受験勉強のイメージがあるかもしれませんが、本書に言うところの学問とは、普段の生活に役立つ実学を指しています

例として、言葉を習う事や帳簿の付け方、そろばんの稽古や天秤の取り扱い方などがあり、実用性を重視した知識(実学)を学問と言ってます。

また、目次にある通り、幅広い内容でありながら、かつ実用性の高い項目がずらりと並んでいます。

この本は各編が独立していることもあって、どの辺からでも読むことができます。今の自分の課題に合わせて読むことができるということですね。

古典でありながら、今でいう「ビジネス書」としても読める本書をぜひ一度読んでみてください!

 

~感想~

本書を読んだ際にまず、福澤諭吉のイメージが違っていたことに驚きました。教育者として厳格な人であることは知っていましたが、言葉から伝わってくる重みと勢いのある表現にただただ圧倒されます。

はきはきと明確に断じていく歯切りのいい文章は、読んでいて楽しいし、非常に楽しい授業を受けているときのような胸の高鳴りがあります。その一方で、自分の未熟な部分に対する耳の痛い話があると、自戒の念が湧きこれも非常に痛快です。

私はこの本を読み終えたとき、「現代」こそ、自分の頭で考えて、正しい知識を仕入れる、というのが必要な時代ではないだろうかと、ふと思いました。

今までの経済システムが変わり、人工知能、ゲノム編集技術、人口減少、グローバリズムなどによって、時代や価値観が変わっていく中で、本書から学べる「時代の変化に負けない力」「これからの時代を生き抜く力」については、学べることが多いのではないでしょうか?


福澤諭吉といえば『学問のすゝめ』と『福翁自伝』が有名なので、この本を読んだ後は『福翁自伝』も読まれてはいかがでしょうか??

幸いなことに現代語訳版も出ています。あくまでご参考程度に!

 

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