タイトル:金融入門〈第2版〉
著者:日本経済新聞社[編]
出版社:日本経済新聞社
もくじ
~本について~
・本書は、マイナス金利、円高・円安、日経平均株価など毎日のようにニュースになる金融の基本的な仕組みがわかる入門書です。
・国内外の金融界を長年取材してきたベテラン記者が、データやトピックスを交えながら、わかりやすく解説します。金融の仕組みを大きく変えるフィンテック(FinTech)や、日本銀行による長短金利操作付きQQE、金融庁の検査・監督体制の見直しなど、最近の話題を盛り込み新版化しました。
・これから金融の勉強を始めようという人、金融機関への就職を考えている人、ニュースと結びつけながら金融の知識を改めて整理したい人に最適です。
~目次構成~
まえがき
第1章:お金と経済の動き 1-お金は経済の「血液」 2-預金も「通貨」 3-銀行や市場は日本経済の「心臓」 4-金利はお金の値段 5-金利は景気・物価の体温計 6-名目金利と実質金利 7-マイナス金利はなぜ起きる? |
第4章:金融をつかさどる当局 1-日本銀行の3つの役割 2-金融政策―政策委員会と金融調節 3-世界の中央銀行 4-金融庁の役割
|
第2章:金融の担い手たち 1-金融機関の果たす役割 2-不安の連鎖を防ぐ 3-お金を預かり、貸す 4-銀行の基本業務 5-直接金融やリスクの担い手 6-変わる政府系金融機関 7-異業種・新規参入の動き |
第5章:「3つの危機」と国際金融の挑戦 1-世界を襲った金融危機 2-固定相場から変動相場制へ 3-ドル一極体制は変わるか 4-存在感を増す新興国の金融力
|
第3章:金融市場の働き 1-お金の値段を決める 2-短期金融市場―お金の卸売市場 3-債券市場 4-株式市場 5-外国為替市場 6-新しい市場のうねり |
第6章:金融の進む道 1-「強欲」から「草の根」へ 2-変わる金融と変わらぬ金融 |
あとがき
~書評~
自慢ではありませんが、「どんな本から読めばいいですか??」とよく質問を受けることがあります。
もし「金融の入門書」でオススメなら、私はこの本をおすすめします。
概要はこちらです。
金融の基礎と応用を詰め込んだ第1章から第4章、国際金融の現状と問題点を解説した第5章、金融の近未来図を描いた第6章まで、興味が湧いたところから読み始めていただけるように、章立てしました。-p4
つまり金融における最低限必要な知識がこの一冊でほとんど網羅されています。
この本一冊の内容が理解できれば、日経新聞をはじめとする経済ニュースや、池上彰さんの解説もより深く、正確に理解できるでしょう。
目次項目を見て興味が湧いたのでしたら、ぜひ買って読んでみるべきだと思います。
~感想~
「お金がすべてではない」「お金で買いないものがある」というのは、非常に共感できますし、実際にはお金で解決できない課題もあることでしょう。
でも、その言葉を盾に「お金について学ぶこと」を避けている人もいるのではないでしょうか?
この本の冒頭でこういう言葉があります。
日々の新聞、雑誌やテレビ、インターネットの画面を飾るニュースに金融をめぐる出来事が出てこない日はありません。(中略) 金融は世界や日本の経済社会に大きな影響を与え、私たちの生活にも深く入り込んでいます。-p3
私も全くその通りだと思います。
つまり、あなたが「金融」という分野に興味があるかないかに関わりなく、金融政策や為替などにより、知らず知らずのうちにあなたのお金は日々影響を受けています。
その事実に気づいていますか??
金融についての知識、とりわけ高校の政治経済の科目で習うような、
「経済の基本的な仕組みやお金の成り立ち」や「どういう経緯を経て今の社会の形が成立されてきたのか」、ということは、知見を広げるだけではなく、自分の身を守る上で強力な武器になると思います。
誰しも将来お金で困りたくはないでしょう。
でも、「お金に苦しめられる人」はたいてい「金融知識が不十分な人」である傾向が強いです。
最後に以下の質問について考えてみてください。
もし、回答ができないのだとしたら危険信号ですよ!笑
・貨幣の主な3つの特徴が分かり、仮想通貨やクーポン券などとの違いを説明できる(Yes/No)
・中央銀行の役割とそれによって、景気とあなたの財布にどのような影響があるか説明できる(Yes/No)
・株式市場と債券市場の違いが分かり、どちらの市場へ投資をする方が自分の資産形成にとって向いているのかを判断できる(Yes/No)
・以下の3つについての理由とその背景となった出来事、そこから得られる教訓が説明できる(Yes/No)
1.なぜ、固定相場制ではなく変動相場制なのか?
2.なぜ、ドルが基軸通貨*なのか?
3.なぜ、バブルは繰り返すのか、日本のバブル(1985-90)はなぜ起こったのか?
*基軸通貨:国際為替市場で中心に扱われる通貨。いわば通貨の代表。
この本のあと、「ちゃんとした経済の勉強をしてみようかな」と思われた方に、シグマベスト『理解しやすい政治・経済 新課程版』を読むことをおススメします。
「シグマベストシリーズ」は高校三年生(受験生)向けの学習参考書です。
高校の学習参考書は、国定教科書に基づいて書いてあるので、信用度の高い知識を身に付ける上で非常に役に立ちます。
当時は苦手科目だったという人も大人になって読み返してみると面白く感じる、ということはあるかと思います。
思い込みや偏見を脇に置いて、一度読んでみてはいかがでしょうか??